ストーマ用品と皮膚保護剤

“あなたらしい”ストーマライフのために

ストーマに関する情報
-ストーマ用品と皮膚保護剤-


ストーマ用品にはどんなものがあるの?

ストーマ用品とは、『ストーマを管理するのに用いる物品』です。下図に示す通り、様々な用品があります。

ストーマ装具って、どんなもの?

ストーマ装具は、今までご自身の体が担っていた、S状結腸や膀胱が持つ溜める役割と、肛門や尿道が果たしていた排泄物を体の外に出す出口の役割を、袋で排泄物を受け(溜める)、排出口から出す(排泄)ことで、代わりに担ってくれる大切な体の一部です。
ストーマ装具は、下図に分類されます。

単品系(ワンピース)装具
面板と袋が一体となった装具
消化管用 尿路用

二品系(ツーピース)装具
面板と袋が分離している装具
面板
消化管用ストーマ袋 尿路用ストーマ袋


面板は、ストーマ装具を皮膚に密着させる板状のもので、主に皮膚保護剤が使用されています。ストーマ袋は、図のように消化管用、尿路用があり、中が見える透明と、肌色などの色付き、または不織布カバーにより排泄物など中が見えないようになっているものがあります。単品系装具で中が見えないストーマ袋の場合、貼る時に少し工夫が必要です。

皮膚保護剤って、なに?

便や尿といった排泄物が皮膚に直接的に接触することを防止し、皮膚を正常な状態に保つ作用がある吸水性粘着剤です。形状により、板状(シート状、リング状、スティック状)、用手成形、練状、粉状に分類されます。
アクリルなど粘着剤だけのストーマ装具は通気性がなく、汗などの水分によって皮膚がふやけてしまいます。ふやけてしまった皮膚は、強度が弱まり摩擦などの刺激を受けやすくなります。また、粘着剤の成分などが皮膚内に侵入し、化学的刺激や過敏反応が起こりやすくなります。
そのため、現在図の作用をもつ皮膚保護剤を使用した装具の選択が、標準的なストーマケアとなっています。

≪ 皮膚保護剤の作用 ≫

  • ①粘着作用:皮膚に粘着する
  • ②吸水作用:汗や不感蒸泄を吸収する
  • ③緩衝作用:皮膚のpHを弱酸性にする
  • ④細菌繁殖阻止作用:細菌の繁殖を抑える
  • ⑤保温作用:皮膚を覆うことで皮膚温を上昇させる

皮膚保護剤の成分は、親水性ポリマーと疎水性ポリマーに分類され、その成分や配合、組成方法によって特徴があります。親水性ポリマーはpH緩衝作用や吸水性があり、カラヤガムには細菌繁殖阻止作用も認めます。疎水性ポリマーは、粘着力、耐水性に作用します。
ストーマ装具としてすでに装具に組み込まれている皮膚保護剤は、水とよく相互作用(溶解、吸収、膨潤)する高分子物質であるカラヤガムやペクチンといった親水性ポリマーの粉末を板状に練り固める方法により、2種類の構造に分かれます。
ゲル系皮膚保護剤は、親水性ポリマーであるカラヤガムの粉末をグリセリンなどでゲル化させたものです。ポリマーブレンド系皮膚保護剤は、親水性のポリマーをゴム状で、水と相互作用しない高分子物質であるポリイソブチレンやSISといった疎水性ポリマーで練り固めたものです。

主なポリマー
親水性ポリマー 疎水性ポリマー
K カラヤガラム b PIB ポリイソブチレン
C CMC カルボキシメチルセルロース s SIS スチレン・インブレン・コポリマー
P ペクチン e EVA エチレン・酢酸ビニル・コポリマー
G ゼラチン f 疎水性ファイバー
F 親水性ファイバー h 水素添加 SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
V カルボキシビニルポリマー m ポリブテンおよび脂肪族炭化水素混合物
A ポリアクリル酸ナトリウム    
H ヒドロキシエチルセルロース    

※本Web上で表示されているJSSCR分類に基づく皮膚保護剤の各成分です。JSSCR分類では、親水性ポリマーをアルファベットの大文字、疎水性ポリマーを小文字で  表記しています。 JSSCR分類に該当しない皮膚保護剤分類については、ポリマー成分を記載しています。